最近、糖尿病と診断されたあなたは、
- 糖尿病との付き合い方を知りたい
- 毎日するべきケアについて知りたい
- 具体的な食事制限や運動量のアドバイスが欲しい
とお考えではありませんか?
結論として、糖尿病は食事と運動に気を使い、うまく付き合わなければいけません。
しかし、具体的にどの程度、食事制限や運動をすればよいのかわかりませんよね。
この記事を読めば、糖尿病の具体的なケアや食事制限・運動でのポイントがわかり、糖尿病との付き合い方がわかります。
また、自己管理が難しい場合での、家族ができるサポート方法についても記載していますので、糖尿病のケアにおいて助けとなるでしょう。
具体的には、
1章では糖尿病との付き合い方で意識するべき2つのこと、
2章では糖尿病のケアで毎日するべき5つのこと、
3章では糖尿病患者の食事でのポイント5つ、
4章では糖尿病患者の運動でのポイント3つ、
5章では自己管理が難しい場合に家族ができる3つのサポート
について説明します。
糖尿病の知識や付き合い方のポイントを知らないとうまくケアするのは難しいです。
この記事を読んで、糖尿病との付き合い方を学びすぐに実践しましょう。
1章:糖尿病との付き合い方で意識するべき2つのこと
糖尿病との付き合い方では以下のことを意識しましょう。
- 糖尿病の付き合い方は「食事」と「運動」がカギ
- 自身の状態を把握する
それぞれ説明します。
1-1:糖尿病の付き合い方は「食事」と「運動」がカギ
糖尿病は血糖値をコントロールしてうまく付き合わなければいけません。
血糖値をコントロールするには適切な「食事」と「運動」を意識するとちょうどよい値に保てるでしょう。
血糖値をコントロールできれば糖尿病の症状は表れず、合併症も防げます。
糖尿病のよくある原因に運動不足や肥満などがあるので、適度な運動を習慣づけ、バランスの取れた食事を心がけることで、血糖値をコントロールしやすくなります。
薬で血糖値をコントロールできますが、運動や食事の改善により血糖値をコントロールし続けられると薬の量を減らせます。
1-2:自身の状態を把握する
糖尿病と付き合っていくのであれば、まず自身の状態を把握しましょう。
自身の状態を把握するメリットは以下のとおりです。
- ストレスや不安を軽くできる
- 健康管理しやすくなる
糖尿病だと診断されても「症状がどの程度深刻なのか」わからない場合は不安になるでしょう。
自身の置かれている状況を客観的に把握することで、ストレスや不安を軽減できます。
また、自身の血糖値だけでなく、食事量や運動量を把握すると健康管理しやすくなり、改善しようと行動できます。
自身の状態を把握するときにはHbA1cに注目しましょう。
※HbA1cとは、糖と結びついたヘモグロビンの割合のことです。過去1~2か月の血糖値をコントロールできている度合いの平均を表します。
合併症を予防する観点からHbA1cの値は7.0%未満を目指しましょう。
また、血糖値が以下に記載した数値の場合、HbA1c 7.0%未満であると言えます。
- 空腹時血糖値130mg/dL未満
- 食後2時間血糖値180mg/dL未満
2章:糖尿病のケアで毎日するべき5つのこと
糖尿病は毎日以下のケアをしましょう。
- 血糖値を測る
- 足のケアをする
- 歯と皮膚のケアをする
- 指示どおりに薬を飲む
- インスリンを打つ
それぞれ説明します。
2-1:血糖値を測る
糖尿病は血糖値が上がると、症状が悪化しやすくなります。
かかりつけ医と血糖値を測るタイミングを決めて毎日測定しましょう。
まだ治療を始めていない糖尿病予備軍の方は、食後2時間経った後に測定しましょう。
食後2時間で血糖値が最も高くなるので、症状の進行にすぐ気づけます。
血糖値を測定するキットは地域の薬局やインターネット上で買えます。
2-2:足のケアをする
糖尿病患者は足のケアを毎日行い、異変にすぐ気づけるようにしましょう。
指の間は不潔になりやすいため、入浴できない日も毎日きれいに洗うことが重要です。
足に傷がないかチェックするのも欠かせません。
傷を放置すると、壊死や感染症につながる可能性があります。
傷の予防には、靴下の着用が効果的です。
2-3:歯と皮膚のケアをする
糖尿病患者は、歯と皮膚の衛生管理に気をつけましょう。
血糖値が高い状態では、虫歯・歯周炎や皮膚感染症の治るスピードが遅くなるためです。
歯磨きを丁寧に行い、汗を吸いやすい服を着用することで、清潔を保つことができます。
2-4:指示どおりに薬を飲む
医師の指示どおりに薬を飲みましょう。
薬を飲み忘れても短期間で症状が悪化はしませんが、合併症になるリスクが上がります。
薬を飲み忘れ続けると、糖尿病の合併症によって以下のことが起こるかもしれません。
- 腎不全によって透析を続ける
- 足が壊疽して切断する
- 心筋梗塞や脳梗塞になる
- 網膜がはがれて失明する
- 意識障害が起こり昏睡状態になる
糖尿病の合併症は恐ろしいものばかりなので、必ず医師の指示どおりに薬を飲みましょう。
飲み忘れた場合は薬によって対応方法が違うので医師に確認しておくのも大切です。
2-5:インスリンを打つ
2型糖尿病で主治医から「インスリンを打つ必要がある」と判断された場合は、毎日自身でインスリンを打ちましょう。
血糖値が高い状態が続くと体内でインスリンがほとんど分泌されなくなり、体外から注射しなければなりません。
糖尿病の合併症を引き起こさないためにインスリン注射を忘れないようにしましょう。
インスリンを注射するタイミングは人によって違います。
1日1回のみ注射する場合、1日2回注射する場合、他の薬と併用する場合など、糖尿病患者によって様々なケースがあります。
インスリン注射の回数やタイミングは主治医と相談して決めましょう。
3章:糖尿病患者の食事でのポイント5つ
糖尿病患者の食事で気をつけるべきポイントは以下のとおりです。
- 血糖値の上がりやすいものは制限する
- 1日3食、バランスよく食べる
- 自身に合っている量を食べる
- お酒は気をつけて飲む
- おやつは昼食後に食べる
それぞれ説明します。
3-1:血糖値の上がりやすいものは制限する
糖尿病と付き合っていく上で血糖値のコントロールは必須です。
そのため、食事の際に血糖値の上がりやすいものは制限しましょう。
特にジュースと果物には多く糖分が含まれているので、注意が必要です。
糖分の多い飲料の例として、
- 炭酸飲料1本(500ml)あたり約角砂糖15個分
- スポーツドリンク1本(500ml)あたり約角砂糖10個分
- コーヒー1本(190ml)あたり約角砂糖5個分
の量の砂糖が含まれています。
果物には果糖が豊富に含まれていて血糖値が上がりやすいです。
また、糖質は必要な栄養素なので極端に「米や麺をかなり制限すること」はやめましょう。
3-2:1日3食、バランスよく食べる
糖尿病患者は、1日3食のバランスの取れた食事を心がけましょう。
食事回数が少な過ぎると、反動で血糖値が急上昇してしまうかもしれません。
逆に、食事回数が多すぎると、血糖値が基準値に戻る前に再び上昇してしまいます。
バランスの良い食事と共に、食物繊維を十分に摂取するのも大切です。
3-3:自身に合っている量を食べる
食事する際に自身に合っている量、特に「腹八分目食べること」を意識しましょう。
食べる量が多かったり少なかったりすると、血糖値をうまくコントロールできず、糖尿病が悪化してしまいます。
よく噛んでゆっくり食べると満腹感を得られるので、食べすぎを防げます。
3-4:お酒は気をつけて飲む
お酒を飲むと自制心がゆるみ、食べすぎや飲みすぎにつながります。
さらに、経口血糖降下薬やインスリンを服用している人がお酒を飲み、糖質の少ない食事を摂ると低血糖になってしまいます。
アルコールの適量は人によって違うので、お酒を飲みたい方は主治医に相談しましょう。
3-5:おやつは昼食後に食べる
おやつは3時ごろに食べる人が多いですが、糖尿病の場合は食後に食べましょう。
活動量の多い昼に食べると、その後体を動かすことで血糖値が急上昇するのを防げるからです。
3時におやつを食べると、血糖値の上がるタイミングが朝・昼・夕の食事に加えて4回になります。
昼食後におやつを食べると血糖値が上がるタイミングを3回にできるので、おやつは昼食後に食べるのがオススメです。
コラム:市販の野菜ジュースは野菜の代わりにならない
健康維持に必要な野菜の推奨摂取量は1日あたり350gですが、量が多く毎日摂取するのは難しいです。
多くの方が足りない野菜を補おうとして市販の野菜ジュースを飲みますが、野菜ジュースは野菜の代わりになりません。
市販の野菜ジュース350gに野菜350gがそのまま使われているわけではないからです。
野菜ジュース350gと野菜350gの違いは以下のとおりです。
- 食物繊維の量が違う
- 野菜の種類構成が違う
野菜350gには約15gの食物繊維が含まれています。
しかし、野菜ジュース350gには1~3g程度の食物繊維しか含まれていません。
野菜ジュースを飲みやすくするために食物繊維を取り除いているため、食物繊維の量に大きな差があります。
また、野菜350gを食事から摂取する場合はいろいろな野菜を食べるケースが多いです。
しかし、野菜ジュースに含まれている野菜は約半分がニンジンで、ニンジンにはショ糖が含まれています。
野菜ジュースの甘さはニンジンのショ糖由来なので、野菜ジュースは野菜の代わりではなく、栄養摂取の補助程度に考えておくとよいでしょう。
4章:糖尿病患者の運動でのポイント3つ
糖尿病患者が運動で気をつけるべきポイントは以下のとおりです。
- 有酸素運動でエネルギーを使う
- 運動を続ける
- 食後1時間経ってから軽く運動する
それぞれ説明します。
4-1:有酸素運動でエネルギーを使う
有酸素運動でエネルギーを使うことで血糖値を下げられます。
有酸素運動をすると血流が上がり、糖分が細胞の中に取り込まれ、血糖値が下がるためです。
※有酸素運動とは、酸素を体内に取り入れてエネルギーを消費する運動のことです。
代表的な運動は以下のとおりです。
- ウォーキング
- ジョギング
- 水泳
上記の運動のうち、膝への負担が少ない水泳がオススメです。
運動習慣がない方は有酸素運動と聞くとハードルが高く感じるかもしれません。
運動習慣がない方は以下の軽い運動から始めてみましょう。
- ラジオ体操
- 掃除
- 草むしり
- 散歩
運動すると血糖値を下げられるだけでなく、肥満対策、メンタルの安定などよい効果が期待できます。
1回20分程度の運動を週3回すると効果的です。
4-2:運動を続ける
血糖値をコントロールする上で「運動を続けること」は重要です。
運動には血糖値を下げる効果がありますが、回数が少ないと血糖値をうまくコントロールできないでしょう。
運動すると2日間は血糖値が下がりやすくなるので、1日おきに運動するのがオススメです。
運動を続けるコツは以下のとおりです。
- 自身にできる運動をする
- 運動を楽しむ
運動の負荷が大きすぎてツラいと、運動をするのが億劫になるでしょう。
また、運動が単調すぎて刺激がないと面倒になって運動をやめてしまうかもしれません。
軽い負荷でもよいので、毎日運動を続けて血糖値をコントロールしましょう。
慣れてきたら「ややきつい」と感じる負荷の運動をするとさらに効果的です。
4-3:食後1時間経ってから軽く運動する
食後、急に血糖値が上がる方は食後1時間経ってから軽い運動をするのがオススメです。
食後1~1時間半後に血糖値が上がるので、運動すると血糖値が極端に上がるのを防げます。
血糖値が上がりすぎると合併症や症状の悪化につながるので、食後に運動を取り入れましょう。
コラム:運動を避けるべき状況
糖尿病患者でも運動を避けるべき状況は以下のとおりです。
- 糖尿病網膜症がある
- 心臓が弱っている
- 1型糖尿病である
- 2型糖尿病で血糖値をコントロールできていない
糖尿病網膜症は糖尿病の影響で血管がもろくなり、視力が下がる病気です。
運動して血圧が上がるともろくなった血管から終結して網膜症が進行してしまいます。
糖尿病には狭心症や心筋梗塞などがあるので、心臓が弱っている方は運動で心臓に負担をかけるのを避けましょう。
また、激しい運動をしようとすると体が動くためのエネルギーを確保しようとして血糖値が上がる場合もあります。
1型糖尿病は生活習慣や運動不足が原因ではないので、運動するとかえって高血糖や低血糖になってしまうかもしれません。
2型糖尿病で血糖値をコントロールできていない場合も運動は避けた方がよいでしょう。
5章:自己管理が難しい場合に家族ができる3つのサポート
血糖値の自己管理が難しい場合に家族ができるサポートは以下のとおりです。
- 継続して通院できているか見守る
- 治療の手助けをする
- 家族の心の支えになる
それぞれ説明します。
5-1:継続して通院できているか見守る
糖尿病の治療には長い時間がかかります。
受診の待ち時間が長く通うのが面倒になったり、受診を忘れてしまったりするかもしれません。
糖尿病とは長く付き合っていく必要があります。
糖尿病の家族が通院していなかったら通院するように説得しましょう。
5-2:治療の手助けをする
糖尿病の治療は食事療法と運動療法を併用するのが基本です。
家族がきちんと食事制限や運動を継続できているか確認しましょう。
また、薬をきちんと服用できているかチェックすることも必要です。
症状の悪化を防ぐために血糖値を一緒にコントロールして治療の手助けをしましょう。
5-3:家族の心の支えになる
糖尿病の治療は継続するのが大切なので、家族の心の支えになりましょう。
心理的に支えるには以下の方法が有効です。
- 糖尿病について理解する
- 治療を応援する
- 血糖値や体重などの数値が悪かったら励ます
長年の生活習慣を変えるのはストレスが大きく、続けるのも難しいです。
1人だと続けるだけでもツラいですが、家族が心理的に支えると治療に積極的になれます。
患者本人と一緒に高すぎる目標を立てず、できることを続けていきましょう。
まとめ:糖尿病との付き合い方を学んで血糖値をコントロールしよう
糖尿病とうまく付き合っていくには食事と運動に気を使わなければなりません。
食事と運動に気をつければ血糖値を下げられ、コントロールできるからです。
糖尿病の症状がある方は毎日以下のケアをするとよいでしょう。
- 血糖値を測る
- 足のケアをする
- 歯と皮膚のケアをする
- 指示どおりに薬を飲む
- インスリンを打つ
糖尿病患者の食事で気をつけるべきポイントは以下のとおりです。
- 血糖値の上がりやすいものは制限する
- 1日3食、バランスよく食べる
- 自身に合っている量を食べる
- お酒は気をつけて飲む
- おやつは昼食後に食べる
野菜ジュースは野菜の代わりにならないので注意しましょう。
糖尿病患者の運動で気をつけるポイントは以下のとおりです。
- 有酸素運動でエネルギーを使う
- 運動を続ける
- 食後1時間経ってから軽い運動をする
また、運動を避けるべき状況もあるので、主治医と相談しましょう。
血糖値の自己管理が難しい場合に家族ができるサポートは以下のとおりです。
- 継続して通院できているか見守る
- 治療の手助けをする
- 家族の心の支えになる
糖尿病になったら食事と運動をうまく自己管理して付き合っていく必要があります。
自身でコントロールするのが難しい場合は、家族などの身の回りの人に頼ってうまくコントロールしましょう。