- 事実婚で浮気されたら「不倫」という扱いになるのか知りたい
- 事実婚で不倫されたときの対処法を知りたい
- パートナーや不倫相手に慰謝料を請求したい
とお考えではありませんか?
結論として、事実婚でも不倫は成立します。
事実婚していると判断されれば、夫婦としての権利・義務が発生し、配偶者以外と肉体関係を持つのは認められないからです。
しかし、不倫が認められるとわかっても、自身で対処できるのか不安ですよね。
また、慰謝料を請求するには、事実婚していることを証明しなければなりません。
この記事を読めば、事実婚で不倫されたときの対処法や慰謝料を請求できるケース・判例がわかり、すぐに行動に移せます。
また、慰謝料を請求する方法についても記載していますので、事実婚でも不倫の慰謝料を請求したいときの参考にできるでしょう。
具体的には、
1章では事実婚でも不倫は成立すること、
2章では事実婚で不倫されたときの3つの対処法、
3章では事実婚でも慰謝料を請求できる3つのケースと判例、
4章では事実婚で不倫の慰謝料を請求する方法4ステップ
について詳しく解説します。
事実婚で慰謝料を請求するには、事実婚していることを証明しなければなりません。
この記事を読んで、不倫の対処法について学び行動に移しましょう。
1章:事実婚でも不倫は成立する
冒頭でお伝えしたとおり、事実婚でも不倫は成立し、法律婚での不倫と同じように対処できます。
事実婚での不倫に対処するために以下のことを知っておくとよいでしょう。
- 事実婚でも法律婚と同じように不倫はNG
- 事実婚(内縁関係)が成立する条件
- 不倫の慰謝料を請求するには事実婚の証明が必要
それぞれ説明します。
1-1:事実婚でも法律婚と同じように不倫はNG
事実婚していると認められれば、法律上の夫婦と同じ権利・義務が発生します。
法律婚で夫婦となれば、貞操義務を守らなければなりません。
※貞操義務とは、「配偶者以外の人と肉体関係を持ってはいけない」という義務です。
違反すれば慰謝料請求などの罰を受けます。
法律上の手続きを行っていない「事実婚」でも法律婚と同じように、貞操義務があります。
さらに、肉体関係がなくても、愛情表現やキスなどがあれば不倫だと認められるので、肉体関係がなくても不倫の対処をできるでしょう。
1-2:事実婚(内縁関係)が成立する条件
不倫を証明する際に、事実婚している(内縁関係である)ことを証明できなければ、不倫を追求できません。
※内縁関係とは、法律上の手続きを行っていないけれど、法律婚の夫婦と同じような生活を送っている事実上の夫婦関係です。
事実婚が成立する条件は以下のとおりです。
- 互いに、婚姻届を提出しない以外、法律婚同様に婚姻の意思がある
- 周囲から夫婦と認知されている
- 共同生活をしている
- 公的手続きで事実婚を表明している
事実上の挙式をしたケースや友人に事実婚を周囲の人に報告したケースでは婚姻の意思があると言えます。
事実婚を周囲の人に報告すれば周囲から夫婦だと認知されるでしょう。
共同生活をしていれば法律婚の夫婦と同じような生活を送っていることになり、事実婚は成立します。
公的手続きとして、住民票の続柄に夫婦関係を記載したり、事実婚契約書を作ったりすることで事実婚を表明できます。
1-3:不倫の慰謝料を請求するには事実婚の証明が必要
事実婚で不倫の慰謝料を請求するには、事実婚していることを証明しなければなりません。
事実婚と法律婚の違いは「婚姻届を提出したか」の違いのみで、どちらも夫婦とみなされるので、慰謝料も請求できます。
しかし、同棲していただけでは、「ただの同居人だった」とパートナーに言われて夫婦だと認められず、慰謝料請求も認められないかもしれません。
そのため、事実婚で慰謝料を請求する際には、事実婚の証明が必要です。
具体的には以下のものがあるとよいでしょう。
- 共同名義の銀行口座、クレジットカードや賃貸契約書
- 両名の名前が記載された郵便物など、一緒に生活していたことがわかる証拠
- 事実婚契約書や事実婚証明書
- 続柄に「夫」または「妻」と記載されている住民票
2章:事実婚で不倫されたときの3つの対処法
事実婚で不倫されたときの対処法は以下のとおりです。
- 事実婚を解消する
- 不倫の慰謝料を請求する
- 関係を修復する
それぞれ説明します。
2-1:事実婚を解消する
不倫を許せない場合は事実婚を解消するのもよいでしょう。
法律婚での離婚と同じ手続きを行うことで、事実婚を解消できます。
相手が事実婚の解消に合意していない場合は調停を行い、事実婚を解消しましょう。
※調停とは、話し合いによりトラブルの解決を目指す裁判所での手続きのことです。
また、事実婚を解消する場合は以下の内容について話し合うとよいでしょう。
- お互いに事実婚の解消に納得しているか
- 財産分与について
- 子どもの親権と養育費
- 慰謝料について
話し合った内容は合意書を作って記録しておくのがオススメです。
2-2:不倫の慰謝料を請求する
事実婚でも不倫の慰謝料を請求できますが、法律婚のケースと比べてハードルは高いです。
法律婚のケースと違い、事実婚している(内縁関係にある)ことを証明しなければならないからです。
※内縁関係は、法律上の手続きを行っていないけれど、法律婚の夫婦と同じような生活を送っている事実上の夫婦関係を指します。
同棲しているだけでは事実婚の証拠にならないので注意しましょう。
内縁関係にある場合、法律婚と同じように夫婦の権利・義務が発生するので慰謝料を請求できます。
2-3:関係を修復する
不倫されても、「やはりパートナーが大切だ」と思うのであれば、関係の修復を考えてもよいでしょう。
関係を修復したいのであれば、「パートナーのことを大切に思っていて関係を修復したい」と伝えてください。
関係を修復する際にパートナーに冷たい態度をとったり激しく責めたりしてはいけません。
「やっぱりこの人とは合わないな…」と思われると、心が離れてしまい関係の修復が難しくなってしまいます。
「何か対処しないと気が済まないけど関係も修復したい」という場合は誓約書を作るのがオススメです。
誓約書には以下の内容を盛り込むとよいでしょう。
- 不倫の事実や内容を認める文言
- 慰謝料の合意内容
- 違反したときのペナルティ
- 今後2度と不倫相手に会わない約束
3章:事実婚でも慰謝料を請求できる3つのケースと判例
事実婚でも慰謝料を請求できるケースは以下のとおりです。
- パートナーが不倫していた
- 既婚者であることを隠して事実婚していた
- 理由なく一方的に事実婚を解消された
それぞれ説明します。
3-1:パートナーが不倫していた
パートナーが不倫していたケースでは慰謝料を請求できます。
不倫の証拠を確保できれば慰謝料の請求が認められるでしょう。
【慰謝料150万円】
事例:事実婚しているパートナーが不倫をしていた
原告はパートナーに対して婚約指輪を渡しており、会社関係者や友人にも事実婚していると認められている。
ある日、パートナーが「実家に泊まる」と言いながら実際には泊まっていないことが発覚した。
調査したところ、同じ職場に勤務する被告と不倫していたことが発覚、原告は不倫相手に対し300万円を請求した。
結果、パートナーから150万円の慰謝料をすでに受け取っていたという理由で、150万円の慰謝料請求が認められる。
出典:東京地方裁判所平成25年1月29日判決
3-2:既婚者であることを隠して事実婚していた
パートナーがすでに結婚しているのを隠して、自身と事実婚していたケースでは貞操権を侵害したとして慰謝料を請求できます。
※貞操権とは、誰と性的関係を持つか自身で決められる権利のことです。
慰謝料80万円】
事例:自身が独身であると嘘をつき、事実婚していた
被告は既婚者であることを隠し、積極的に独身だと嘘をつき、事実婚を3年していた。
原告と被告は事実婚中に作った、2人の状況を記録するノートに以下の内容の記載がある。
- 近い将来、原告を両親に紹介したいこと
- 原告が被告と同じ苗字を名乗りたいこと
- お互いに婚姻を望んでいること
2人は避妊せず肉体関係を持っていたため、妊娠・中絶した後、既婚者であることが発覚した。
結果、人格権・貞操権を侵害する行為により精神的苦痛を負ったとして80万円の慰謝料請求が認められる。
出典:東京地判平成26年12月16日
3-3:正当な理由なく一方的に事実婚を解消された
正当な理由なく一方的に事実婚を解消された場合も慰謝料を請求できます。
ありがちな正当な理由は以下のとおりです。
- パートナーが不倫をしていた
- 理由なく生活費を渡さなかった
- 3年以上、生死不明だった
- 重い精神病にかかり、回復の見込みがない
- DVやモラハラがあった
- パートナーが過度な宗教活動をしている
- パートナーが性行為に応じない
- パートナーに多額の借金がある
上記のような「事実婚を続けるのが難しい」と認められる理由がなければ慰謝料の請求が認められます。
【慰謝料230万円】
事例:内縁関係を一方的に解消された
裁判所は以下の情報から6年9か月の内縁関係が成立しているのを認めた。
- 同棲を始めた後の生活状況
- 2人が協力して不妊治療をしていた
- 子どもができたら結婚するつもりだった
パートナーは原告に隠して他の女性と結婚し、理由を言わずに原告と事実婚を解消した。
結果、将来結婚できると期待していた原告の気持ちを裏切り、人格権を侵害したとして230万円の慰謝料請求が認められる。
出典:東京地方裁判所 平成30年11月16日判決
4章:事実婚で不倫の慰謝料を請求する方法4ステップ
事実婚で不倫の慰謝料を請求する場合は以下の4ステップで行いましょう。
- 事実婚の証拠を集める
- 不倫の証拠を集める
- 内容証明郵便を送る
- 弁護士に依頼する
それぞれ説明します。
4-1:①事実婚の証拠を集める
事実婚で慰謝料を請求したい場合は、事実婚していることを証明しなければなりません。
事実婚を証明する方法は以下のとおりです。
- お互いに婚姻の意思があり、数年間同居している
- 周囲が夫婦と認めている
- 結婚式を行っている
- 子どもがいて、男性側が認知している
- 健康保険証の被扶養者になっている
- 住民票や賃貸借契約書の続柄に「夫(未届)、妻(未届)」との記載がある
- 男性側の給与明細書に被扶養者として妻の名前が記載されている
- 民生委員発行の事実婚証明書または内縁関係証明書がある
事実婚の証拠を確保できないと、「同棲していただけ」と言われて慰謝料の請求が認められないかもしれません。
公的書類に夫婦であることが記載されていると、事実婚していたことが認められやすいです。
4-2:②不倫の証拠を集める
事実婚の証拠が確保できたら不倫の証拠を集めましょう。
不倫の証拠を確保できれば示談や裁判で有利になります。
不倫の証拠として以下のものがあると有利です。
- 2人でホテルや自宅に出入りしている写真や動画
- メールやLINEのやりとり
- ラブホテルの支払い履歴
- 配偶者か不倫相手のどちらかが不倫を認めた音声
- 探偵の調査報告書
- Suica、PASMOの利用履歴
- SNSやブログ
- 子どもの血液型
確保した証拠では不倫を証明できなかったとしても、証拠を複数組み合わせれば不倫を証明できるケースもあります。
そのため、証拠はできるだけ多く集めましょう。
4-3:③内容証明郵便を送る
証拠の確保が終わったら内容証明郵便を送りましょう。
※内容証明郵便とは、法的に効力のある郵便のことです。
書類の内容だけでなく送った時期、誰から誰に送ったかという記録も残るというメリットがあります。
相手の職場に送付するのは名誉棄損・プライバシー権の侵害にあたる可能性があるので、自身の判断で送らないようにしましょう。
弁護士に内容証明郵便の内容・送り方を相談すると安心できます。
4-4:④弁護士に依頼する
内容証明郵便を送ったら示談や裁判することになります。
示談や裁判では弁護士に依頼して力を借りるのがオススメです。
慰謝料を請求される側は弁護士に依頼するケースが多く、自身で相手の弁護士に対応するのは大変だからです。
弁護士に依頼すると、代理人として交渉・出廷してくれるだけでなく、書類の作成もしてくれるので不備がなく慰謝料を請求できます。
また、相手が慰謝料を支払ってくれないケースや音信不通になってしまうケースでも、弁護士が対応してくれるので安心です。
慰謝料請求を自身ですべて行うのは手続きが複雑で難しいので弁護士に依頼するのがオススメです。
まとめ:事実婚でも不倫は成立するので適切に対処しよう
事実婚でも不倫は成立し、法律婚と同じように対処できます。
しかし、事実婚で不倫の慰謝料を請求するには、事実婚していることを証明しなければなりません。
事実婚で不倫されたときの対処法は以下のとおりです。
- 事実婚を解消する
- 不倫の慰謝料を請求する
- 関係を修復する
事実婚と法律婚の違いは「婚姻届を提出したか」という違いしかなく、夫婦であることに変わりありません。
そのため、事実婚でも法律婚のケースと同じ対処ができます。
慰謝料を請求できるケースは以下のとおりです。
- パートナーが不倫していた
- 既婚者であることを隠して事実婚していた
- 理由なく一方的に事実婚を解消された
また、事実婚での不倫の慰謝料請求は以下のステップで行いましょう。
- 事実婚の証拠を集める
- 不倫の証拠を集める
- 内容証明郵便を送る
- 弁護士に依頼する
同棲していただけでは「ただの同居人だった」とパートナーに言われて慰謝料請求が認められないかもしれません。
「事実婚の証拠を集めなければならないこと」以外は法律婚の慰謝料請求と同じ手順です。
慰謝料請求は複雑ですが、弁護士に依頼すれば安心して慰謝料を請求できます。
慰謝料請求の手続きで困ったら弁護士に相談してみましょう。